漢方療法

Summary

  • 漢方薬は生薬を組み合わせてできている
  • 「気」「血」「水」によって処方される
  • 漢方薬と西洋薬はお互いを補完することができる

漢方薬は西洋薬と考え方や成り立ちにおいて全く異なりますが、その違いからお互いを補完し合うことが可能であり、現代の医療では漢方薬も積極的に取り入れられ、重要な役割を果たしています。

漢方薬は、生薬(しょうやく)といって天然由来の植物、鉱物、動物を加工したものを原料に、2種類以上の生薬を組み合わせで成り立っています。生薬の種類は約250種類あり、組み合わせる種類や比率により膨大な数の処方が可能です。しかし、現在保険に収載されている漢方薬は148種類しかありません。これは、漢方医学の長い歴史の中で、有効で副作用の少ない生薬の組み合わせが厳選されてきたからです。

漢方医学は「気」「血」「水」の3要素のバランスを重視します。「気」「血」「水」とは漢方医学独自の概念であり、これら3つの要素が体内を適切に“流れる”ことで体内のバランスを保ち健康な状態が維持されると考えられます。つまり、体の不調は「気」「血」「水」のいずれかの要素が滞ってしまうことが原因となります。「気」は生命の基本的なエネルギーであり、心理状態や自律神経機能を反映したものと考えられます。「血」は体内の栄養や毒素を運ぶものであり、その名の通り血液の流れに近い概念です。「水」はリンパ管など体内の水分の循環を示す概念であり、腎機能やむくみなどに関与すると考えられます。漢方医学では、「気」「血」「水」の3要素と「証」と言って個々の体力や体格など病気に対する抵抗力を参考にし、個々に合った漢方薬の処方を決めていきます。

漢方薬の内服期間はさまざまで、即効性のあるもの(咳止めや足のつりを止める漢方薬)から、体調を徐々に整えるために月単位の内服が必要なものまであります。発生率は低いものの、漢方薬には副作用があるものもありますので、長期間内服する場合は定期的な診察や血液検査が推奨されます。

漢方薬の主な副作用は生薬によって以下の通りです:

  • ・黄芩(おうごん)・・・間質性肺炎、肝障害
  • ・甘草(かんぞう)・・・血圧上昇、浮腫、カリウム低下(利尿剤併用には注意)
  • ・山梔子(さんしし)・・・腸間膜静脈硬化症が報告されています。

長期的に内服する場合でも、医療機関で処方される場合は基本的に保険適用なので、薬剤費はさほどかかりませんが、そうでない場合には高額な費用が発生することがあります。

当院では痛みの治療の他にも、体質の問題(虚弱体質など)や体調の問題(更年期障害、活力低下)、不安神経症などでお悩みの方に漢方薬を用いた治療を行っています。

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