認知行動療法
Summary
- 痛みと認知機能は関連している
- 認知のゆがみは痛みを増強する
- 適切なアプローチが痛みの治療に重要である
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)とは、間違った認識に基づく症状を、正常な認知機能を回復させることによって治療する手法です。
慢性痛による持続的な痛みストレスは、気力や活力を低下させるだけでなく、食欲不振や集中力の低下、感情の変動など、認知機能の変化(通常、認知の歪みと呼ばれます)を引き起こします。認知の歪みはX線検査や血液検査では確認できず、患者自身も気づきにくい場合が多いため、治療の対象として見過ごされることが多々あります。
適切な治療が受けられない場合、認知の歪みは徐々に増大し、自身の体を正しく認識することを妨げ、感じる痛みを増強したり、通常は痛くない刺激を強い痛みとして感じるような状態を引き起こしてしまいます。
ペインクリニック領域における認知行動療法は、この認知の歪みを修正することを目的としています。痛みを誘発する行動パターンやネガティブな思考パターンを把握し、認知の歪みを修正することで、他の治療が無効であった辛い痛みが軽減できる可能性があります。
当院では、古典的な認知行動療法に加えて、Acceptance & Commitment Therapy(ACT療法)、運動療法、瞑想(マインドフルネス)、リハビリテーションなどを併用することで、痛みに対する対処能力を改善することが可能です。